第四十六回宮城県俳句賞準賞作品

素   描      齋藤 善則(滝)
 

雨粒の磨きあげたる竜の玉

舂きの名もなき岬野水仙

鳥籠の鳥に声かけ蒲団干す

牡蠣飯を炊きただいまの声を待つ

冬うらら小屋より放つ伝書鳩

昃れば素描のごとき春の山

下萌に風の尾ふれてゆきにけり

早春のバス待つ列に加はりぬ

神妙に春菊の香を嗅ぐ子かな

卵焼ふつくら揚雲雀まぶし

沖を行くタンカーさくら貝に波

別々に来て共に見る桜かな

田水張り村に活気の戻りけり

野いばらの仄かににほふ草野球

無防備な腹の向き合ふ三尺寝

秒針の無き砂時計汗を拭く

香水や一番線に恋をはる

美術館出て潮騒と凌霄花

銀河系の端つこに住みハンモック

町境越えて広がる刈田かな 

宮城県俳句協会

宮城県俳句協会のページ。

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