第四十回宮城県俳句賞正賞作品

五 番 街     小野寺みち子(河)

水澄みてモジリアーニのうなじかな

日の匂ひ土の匂ひの落ち葉踏む

主旋律奏づるチェロや冬銀河

コンサート果てて聖樹に灯の点る

劇場の張り出し席に年惜しむ

大嚏してニューヨーク五番街

着ぶくれて遠巻きに見る大道芸

装丁の金の縁どり春立てり

ぼたん雪しばらくは灯を消ししまま

龍天に潜水艦は浮上せよ

告白の続きは亀の鳴いてょり

花曇り紙ナプキンに書く略図

占ひの手順教はる朧の夜

語るやうささやくやうにさくら散る

花は葉に野外ラィブの出番待つ

罌粟の花漢ばかりの珈琲館

薔薇香る王女の名前はシャーロット

乾杯につづく喝采薔薇の雨

新郎の肩先に雨薔薇に雨

薔薇の渦記憶のフィルム巻き戻す

宮城県俳句協会

宮城県俳句協会のページ。

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